大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)3096 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人岸達也の上告趣意は後記のとおりである。

上告趣意第一点について。

弁護人が原審に提出した控訴趣意書第五点の事実誤認に関する主張は「上来説明

したるところを綜合すれば原判決には重大なる事実の誤認あることを疑ふに足るべ

き顕著な事由あるものである」と記載されているだけであり、右の「上来説明した

るところ」というのは、控訴趣意第一点において審理不尽の違法等として主張され

た事実をさすものと思われ、それ以外に事実誤認にふれた主張は控訴趣意中どこに

も存在しない。そして原判決は、控訴趣意第一点に対する判断として、第一審判決

挙示の証拠の内容を具体的に揚げて判示事実を認定したことに誤のないことを明ら

かにした上「要之、原判決挙示の証拠を綜合すれば本件胎児は被告人のした堕胎手

術当時生存していたという趣旨を包含する原判示事実は優に之を認めることが出来

る」と説示しているのである。それゆえ原審は、弁護人の事実誤認の主張に対し判

断を与えていることは、まことに明らかであり、「事実の誤認有無に対し何等の裁

判を為さず控訴を棄却した」との上告趣意中の主張は、原判決を正解しない非難で

ある。されば、原判決が憲法に違反するとの論旨は、その前提を欠くが故に採用で

きない。

同第二点について。

論旨は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(なお、原判決には所論のように、

採証法則を無視した理由齟齬の第一審判決を是認した違法はない)。また、本件に

は刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。

よつて、刑訴四〇八条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

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昭和二七年七月二二日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 本 村 善 太 郎

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